「そもそもコーヒーとは?」「コーヒー豆って何の豆?」「いつも飲んでいるコーヒーって何を抽出したものなの?」そんな疑問にお答えします。

初回公開日:2021年2月21日
更新日:2021年2月21日

いつも何気なく飲んでいるコーヒー。このコーヒーが何なのか考えたことがありますか。「コーヒーって何?」と聞かれたときに、あなたならどのように説明しますか。ここではそんな「そもそも」の疑問に迫ります。

そもそもコーヒーって何?

コーヒー豆ってなに?
何科の植物の種なの?

当たり前のようなことですが、コーヒー豆も「ある植物」の種子です。いつもコーヒーを飲んでいるときにそんなこと気にも留めませんよね。
コーヒー豆は「コーヒーノキ」と呼ばれるアカネ科の植物の種子です。アカネ科の植物は他に、優雅な香りで知られる白い花のクチナシがあります。
そしてコーヒー豆は、このコーヒーノキに実る「コーヒーチェリー」と呼ばれるサクランボくらいの大きさの赤い果実(種類によっては他の色も?!)の種です。もちろん果物としても食べることは可能のようですが、あまりにも種子が大きいために、食べ応えが無く、食用としては向いていないとか…。
それでも果物の種がコーヒー豆だったなんて考えたこともなかった人が多いのではないでしょうか(私もそうでした)。
最近のトレンドのサードウェーブコーヒーでは、浅煎りのコーヒーが増えています。またスペシャルティコーヒーも同様で、浅煎りから中煎りのコーヒーが多いです。それはおそらく、焙煎により付与される香りでなく、コーヒー豆が本来もつ特徴を引き出すという考え方があるからだと思うのです…。浅煎りのコーヒーにはフルーティーな味わいのコーヒーが多いのも、元が果実だと知れば納得もできます。細かな説明はまたの機会にしますが、「ナチュラルプロセス」や「ハニープロセス」といった果肉を残す精製方法では、果実の味わいが豆に移るという考え方もあるんです。
飲用として用いられるコーヒーノキには、主に「アラビカ種」と「カネフォーラ種」の2つがあります(厳密にはリベリカ種を含めて「コーヒーの3原種」ということも)。世界のコーヒーの生産量の9割以上を占めるのがアラビカ種です。香り、品質の点で優れていますが、耐病性に難があります。一方のカネフォーラ種は耐病性があり、これまでも様々な危機でその強さを示してきました。また、標高が低いところでも生産が可能であったり、価格が安いということもメリットです。カネフォーラ種の耐病性を活かし、アラビカ種とのハイブリッド種なんかも生まれています。
本題から逸れてしまうため、アラビカ種、カネフォーラ種の説明は他の記事に任せましょう。

コーヒーチェリーの構造について

コーヒーノキに実るコーヒーチェリーから、飲用のコーヒー豆の状態になるには、いくつかの工程が必要です。私たちがマグカップからコーヒーをすするまでにはとっても手間がかかっているんです。まずは、コーヒーチェリーから「精製工程」を経て「生豆」を取りだします。この生豆が何なのかを少し詳しく説明します。コーヒーチェリーの断面は下図のようになっています。

コーヒーチェリーは果物だという話を先ほどしました。果実と皮があります。それぞれ「果肉」と「果皮(外皮)」といいます。その内側に「ムシラージ(粘質物)」という層があります。ムシラージは「ミューシレージ」とも言います。「ウォッシュドプロセス(水洗式)」という精製方法では、水槽の中で発達する微生物による発酵で、このムシラージを取り除きます。「ウォッシュドプロセス」の説明もまた今度。
ムシラージの下にある「パーチメント」という層は、精製工程の最後に乾燥させ、「脱穀」を行うことで除去が可能です。この、パーチメントを脱穀した状態が「生豆」です。焙煎所に行くと、この生豆の状態を見ることができます。

「コーヒー」の色、味、香りを決める焙煎工程

先ほど、パーチメントを除去した状態が生豆だと説明しました。この生豆のままではまだ飲ません。「焙煎」が必要です。180℃から250℃まで加熱します。この焙煎という作業により、生豆の水分が抜けていき、メイラード反応により生豆が褐色化し、香り、甘みや酸味などの風味に変化が生じます。焙煎中、コーヒー豆の品質はめまぐるしく変化します。コーヒー豆の良さを生かすも、殺すも焙煎次第といえるくらい、非常に重要かつ奥深い工程です。

焙煎工程では、「シルバースキン(銀皮)」が剥がれ落ちます。「チャフ」と呼ばれることがあります。たまに浅煎りの豆にチャフがついていることもあります。茶色い薄皮のようなものがチャフです。シルバースキンという言葉に違和感を感じていたのですが、パーチメント付きのコーヒー(パーチメント・コーヒーと呼ばれます)を入手する機会があり、その疑問が解けました。

右に剥がれた硬い皮のようなものが、パーチメントです。剥がれた部分から生豆が見えているのですが、表面が少し銀色に光り輝いているのがわかるでしょうか。写真だと少しわかり難いかもしれません。もし皆さんもパーチメント・コーヒーを入手することがあれば、ぜひシルバースキンがほんとにシルバー(銀色)かを確認してみてくださいね。

飲み物としての「コーヒー」が完成

シルバースキンのことで少し話がそれましたが、「飲み物のコーヒー」になるまであと少しです。

焙煎後のコーヒー豆は「コーヒーミル」という粉砕機で小さく砕きます。砕いた後は、その豆の中の成分をお湯や水に溶かしだします。このコーヒー豆中の成分を溶かし出す工程を「抽出」といいます(抽出については「使い分けたい5つのコーヒー抽出方法」を参照)。コーヒーに関わる職業として有名な「バリスタ」は一般的にこの抽出工程を担う人のことを言います。

さぁ、皆さんが美味しく飲める「コーヒー」ができました。

いかがでしたでしょうか。コーヒーが何なのか、少しはご理解いただけたでしょうか。コーヒーへの理解を深めることで、いつものコーヒー時間が少しだけ豊かになるかもしれません。

~まずはコーヒー。考えごとはその後で~

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