初回公開日:2021年2月6日
更新日:2021年2月7日
コーヒーの魅力にどっぷりハマるほど、ちらちらと頭をよぎるのは「カフェイン」の存在。一日に何杯もコーヒーを飲んでしまい、頭痛や、気持ち悪さを感じたことはありませんか。
「カフェイン中毒」なんて検索してしまった日には、「コーヒーとの付き合い方を見直す(飲む量を制限する)べきだろうか…」なんて悩んでしまうかもしれません。
他にも、「コーヒーは好きだけど、今はカフェインはできるだけ控えたい」という人もいるのではないでしょうか。
カフェインの体への影響についての説明は他のサイトに譲るとして、ここではコーヒーと長く安心して付き合うために「ディカフェコーヒー」という存在をご紹介しいます。
「カフェインが少ない」ことを表す言葉には「ディカフェ(デカフェ)」のほかに、「カフェインレス」、「カフェインゼロ」などがありますが、「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」では次のように規定されています。
カフェインを 90 パーセント以上除去したコーヒーにあっては、「カフェインレスコーヒー」、「デカフェネィテッドコーヒー」等と表示する。
レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約
(平成30年6月更新)
「カフェインレス」も「ディカフェ」もカフェインを100%取り除いたという表現ではないんですね。ほとんど入っていないけど、僅かに残っているというところでしょうか。
そもそもカフェインが含まれているコーヒー豆から100%カフェインを取り除くというのは現実問題無理そう。いわゆる「カフェインレス」、「カフェインゼロ」を謳う飲料には、麦茶やハーブティー、そば茶、コーン茶、たんぽぽコーヒーなどがそれにあたります。
生豆の種類によってカフェイン量は異なります。それこそ、カネフォーラ種よりもアラビカ種のコーヒー生豆のほうが2分の1~3分の1ほどカフェインは少ないと言われています。ですが「ディカフェコーヒー」はその名の通り「ディ」という、コーヒー豆からカフェインを「取り除いた(除去した)」ものです。このカフェインを取り除く方法にはいくつかあります。この除去方法についていくつかご紹介します。「ディカフェコーヒー」を選ぶ際の判断基準にしてみてくださいね。
有機溶媒の中に生豆を直接加え、カフェインを除去する方法です。生豆を十分に洗浄し、溶媒を洗い流した後位に乾燥工程を経て、焙煎可能な状態にします。
直接法との違いは生豆が直接有機溶媒に触れないことです。生豆を熱湯に漬けて、可溶性成分を抽出します。抽出液は、カフェインを吸着する有機溶媒の入った容器に注ぎます。この溶液を加熱し、カフェインを含んだ有機溶媒を蒸発させることでカフェインを取り除きます。その後、溶液に生豆を戻すことで、残った成分を生豆に戻します。
1980年に特許が取得されている方法です。有機溶媒ではなく、水を使用する唯一の処理方法です。カフェイン除去用水(GCE)と独自のカーボンろ過装置を用いてカフェインを取り除きます。
詳しくは…https://intl.swisswater.com/ja/
1978年にネスレ社が開発した脱カフェイン方法。水の密度に近い超臨界流体状態の二酸化炭素(31℃/200気圧)に生豆を漬け込むことで、生豆からカフェインを抜きます。何度もこの超臨界流体状態の二酸化炭素を循環することで、効果的にカフェインのみを抽出します。
4つの脱カフェイン処理方法をご説明しました。有機溶媒抽出法は、安価なため海外では割と主流な方法のようですが、日本では使用が禁止されています。国内で「ディカフェコーヒー」を入手した際は、スイス式水抽出方法か超臨界CO₂抽出法のどちらかであると思われます。
カフェインの除去技術は日進月歩、時とともに進化してきましたが、生豆に対して処理をするという点で変わりません。脱カフェイン処理をした生豆の焙煎は難しく、また風味が落ちてしまう(香りがとんでしまう)傾向があるそうです。それでも脱カフェイン処理について知り、その知識をもとにコーヒー豆を選ぶことにより、より美味しいディカフェコーヒーに会えるかもしれません。今後の技術の進歩に期待です。ちなみに私が以前に飲んだ超臨界CO₂抽出方法のコーヒーはとても美味しかったです。
脱カフェイン処理だからと言って、特別な準備は必要ありません。いつも通りに豆を挽いて、お好きな方法で抽出してください。脱カフェイン処理をした生豆の焙煎難易度は上がるといわれています。ただ、普段コーヒーを飲んでいるほとんどの人は焙煎をすることはないでしょうから、腕の良いロースターを見つけることが、美味しい「ディカフェコーヒー」に出会う最も近道かもしれません。
ぜひ皆さんもディカフェコーヒーを日ごろのコーヒーライフに取り入れてみてはいかがでしょうか。
~まずはコーヒ―。考えごとはその後で~
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